公示評価書&Chat GPT


令和5年の終盤頃から、不動産鑑定にAI(LLM)が使えないかを日々模索しています。

不動産鑑定士の重要な業務として「地価公示」があります。「地価公示」は全国の決められた土地(標準地と言います)について、毎年1月1日時点の価格を公表するものです。国土交通省が行っている事業ですが、この実務を行っているのが不動産鑑定士です。

今回はこの標準地について評価書を書く際に、ChatGPT(3.5Turbo)を使って効率化できないかを模索してみました。結論から言えば、ほとんど無理でした。

試したのは2点。まずは箇条書きを作って、AIに文章を生成させてみました。地価公示の文章は60字~250字程度の短文が多いのですが、5~6項目の箇条書きで方針を与えて、ようやく標準地に沿った文章を生成し、そこから手直しをして完成となりました。AIを使わない場合の2倍ほどの時間・労力と感じました。

次に、私が作った文章の誤字脱字チェックをAIに任せてみました。短文ですから、人力でもあまり時間はかかりませんが、ものは試しです。ごく稀に良い回答をすることはありましたが、ほとんどの場合、専門用語の誤用や重要度の低い言い換えの指摘のみでした。これならば、WORDに貼り付けて発話させた方が効率的だと思います。

考察するに、ChatGPTは鑑定評価書の文章を学習していないか、鑑定評価書とは認識せずに学習したかのどちらかだと感じました。守秘義務がある以上、鑑定評価書がネット上に載るのはごく稀なことです。ChatGPTが学習できないのも仕方ないと思います。AIは法律文章の生成は得意なようですが、判決などはネットに多数掲載されているから、ChatGPTとは相性が良いのでしょう。

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